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ヴァケッタの革袋を使う

折り目正しい上品さと
穏やかな生き様
寄り添う優しさ
一枚革を形に

感じ取れるのは
“たしかなぬくもり”


往年の逸品「ユーフラテス」が、gentenの定番素材であるミネルヴァボックスの革を使い、装いも新たに復刻しました。2022年秋冬シーズンの二本手トートとワンショルダーに続き、今回は初代の発売当時に人気を博したマチなしショルダーをリバイバル。よりクリーンな印象にアップデートされた新生「ユーフラテス」についてご紹介します。

写真は共に新作。左から ユーフラテス(boxバージョン)ショルダーユーフラテス(boxバージョン)ポシェット

まず革ありきで考える
「ユーフラテス」のものづくり

もともと「ユーフラテス」は、原始的な物質運搬道具である“袋”をイメージソースとして、2009年秋冬シーズンに誕生したシリーズです。ヴァケッタ製法※でなめしたハリのある一枚革を贅沢に用いながら、可能な限り裁断を生まないように工夫されたフォルムは、優しい丸みを帯びているのが特徴。バッグを“持つ”というより“寄り添う”、または“身にまとう”という表現がピッタリだと言えるでしょう。革自体の醍醐味、勢いを余すことなく体感していただけることから、長年のgentenファンの皆さまから高評価をいただいてきました。

革があるから“もの”を入れて包む。それを人間が持ち歩くために身にまとう。

ふくよかさや、人とのなじみの良さがある「ユーフラテス」はこのような理念で作られています。つまり、まず革ありきで人はあくまでも二の次という、通常とは逆の思考でものづくりされています。人の都合だけを考えれば、もっと合理的で機能的なものができあがったでしょう。しかしあえてその合理さを“引き算”し、無駄な要素や非合理も含めて人とのなじみを優先したところに、「ユーフラテス」の真髄があるのです。

※イタリア・トスカーナ州に伝わる昔ながらの植物由来の伝統的な鞣し製法で作られた革のこと。

しっとりと柔らかに
クリーンさを増して

ミネルヴァボックスは牛の肩まわりの革を使用し、イタリア職人の手によるヴァケッタ製法でつくられています。表面にある独特な、“天然のシボ”が印象的です。たっぷりと自然由来の牛脚脂を使い、時間をかけて馴染ませることでしっとりとした柔らかい質感を生み出します。

もともとの「ユーフラテス」は、表面に凹凸があって個性の強い“ユーフラテス”という名称の革を用いた、ワイルドなイメージの仕上がりでした。
その革を2022年の復刻版からミネルヴァボックスに置き換えたことによって、クリーンさが増し、初代のものよりほんの少し都会的に仕上がっているのが特徴です。ミネルヴァボックスの素朴さ、極めてシンプルな意匠はそのままに、今まで同様、革の魅力を存分にお楽しみいただけます。

大は12.9インチのタブレットやA4書類が入れられる大きさ。

一枚革で仕立てた
贅沢な斜めがけショルダー

ポシェットにはスマートフォンと小さめのお財布のほか、ミニポーチとハンカチが収まる容量です。

お客さまからご支持をいただいたことにより復刻に至った、新生「ユーフラテス」。今回は、斜めがけのショルダーを2つのサイズでご用意しました。

斜めがけのマチなしショルダーが誕生した背景は、もともと初代「ユーフラテス」の素材で作られていたA3サイズの巨大なショルダーバッグが発想の起点でした。同じ形のショルダーを、二本手のトートバッグと同じパターンを使って、ミネルヴァボックスの一枚革で形にしたいと考えたからです。

余計な接ぎだしをしないという「ユーフラテス」の理念に則って、今回のバージョンからショルダー部分まで、連続した一枚革でおつくりしています。ところどころ傷やシミがあるかもしれませんが、それは一枚革であることの証です。そんな動物の息吹まで身に纏っていただけたら嬉しいです。

ショルダーは帯のように幅をとっているので、最初は固く感じるかもしれませんが、使い癖によって革がなじんでゆきます。

使うたびに
革と人が繋がっていく

バッグ自体のベストプロポーションを加味してつくられているので、ショルダーにはあえて調整機能を設けていませんが、男性でも問題なくお使いいただけます。

マチなしのショルダーバッグは完全にフラットな形状ですが、中に物を入れるとボコボコと踊るように変形して、際限なしにマチが広がります。
柔軟性があるので厚みのあるものを入れることも可能です。開閉部分の紐は縛るも縛らないも自由。入れるものの量や使われる方の持ち癖によって、バッグの形やショルダーは次第に伸び縮みして“歪んで”いきますが、だんだんご自身の体に寄り添っていく感覚を得ることができるでしょう。

なるべく直線構造は持たせず、鋭角なマチを発生させないのが、「ユーフラテス」におけるデザイン上の理念。実はこのしなやかで丸みを帯びたカーブは、人の手で自由放物線を描いたものです。つまり良い意味での“いい加減”な感性から生まれています。
現代ではコンピューターで数学的な放物線を描くのが普通ですが、それを意図的にしないのは、“人間という動物”として自然な動きを有機的なフォルムで表現したかったから。人の手による直感的なデザインだからこそさっくりと体になじみ、革と人とが繋がっていくような魅力を体感できるのだと思います。

アクセントとなるステッチは、麻100%の糸を使い手作業で施されています。時間が経つと革にのめりこんで革がポコポコと縮み、波打つようになっていきます。また、ショルダー部分も手の形によってどんどんたわんでいくでしょう。革の特性を活かしているからこそ表れるしなやかな魅力を、ぜひ感じ取ってみてください。

時に歪んだり、たわんだり
しなやかに形を崩しながら
体になじんでいく一枚革

「ユーフラテス」を纏ったその日から
私もその一部と化してゆく

■ ユーフラテスのお手入れについて ■

天然の脂をたっぷりと含んだミネルヴァボックスのお手入れは、やわらかい布で乾拭きするだけとシンプルです。使用する布は、繊維の凹凸が少なく目の細かい綿100%がおすすめ。着古したTシャツでも構いません。乾燥してきたと感じたらクリームで保湿をしてください。