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“いれもの”を超えて共に人生を歩む鞄

最高品質のブライドルレザーを使ったダレスバッグとダレスリュックが数量限定生産で特別発売しております。皮革素材を提案してくれた中村千之助商店の中村高志さん、製作を手掛けた鞄職人である猪瀬商店の猪瀬昇さん、この商品の企画・デザインを手がけた企画の佐伯、三者それぞれの想いやこだわりを語ってもらいました。

昔ながらの製法で他とは一線を画す
正真正銘のブライドルレザーを提案

「この革で、いつか、何か作りたいという想いがあった」と、佐伯が注目していた最高品質のブライドルレザーを提案してくれたのは中村千之助商店。浅草の地で90年以上に渡って、皮革素材の提案や革製品の販売・加工、新素材の開発、輸出入を手掛けてきた、革専門店の老舗。三代目の中村高志さんは佐伯と同世代で、いつも素材の相談をする仕事仲間でもあります。

創業は大正9年。今回、お話を伺った中村高志さんは三代目になる。

今回のダレスバッグ、リュックに使用されている素材は、ドイツの名門タンナー“キルガ―”のブライドルレザーです。ブライドルレザーとは、皮革に何度もロウを塗り込むことで、繊維を引き締めた革のこと。表面に浮き出た白い粉はブルームと呼ばれ、その上品な輝きはブライドルレザーの証でもあります。

「これこそが正真正銘のブライドルレザー」と中村さん。

「キルガ―は、私自身もお付き合いのある馬具メーカーさんから紹介された会社で、主に馬具用の革を手掛けています。原皮を渋槽(植物性タンニン槽)に何週間も漬け込むという、手間も時間もかかる昔ながらの方法で、最高品質の革を作っています。ドイツにあるキルガーの工場は今でも木造の建物で、電気や水も自社で作っているんです。自然環境に配慮しているところにも共感できるし、gentenとも考え方が近いと思いました」

gentenが誕生したときから、ずっと注目していたという中村さん。 「ナイロンバッグ全盛の時代に、クイーポさんが革モノで、しかもオリジナルブランドを立ち上げると聞いて驚きましたが、革の本質である丈夫さ、自然な雰囲気、経年変化の美しさを全面に打ち出すブランドは、画期的だなと感じていました。今回のダレスバッグは、堅牢性や男らしさなどgentenの新たな面も垣間見えるので完成が楽しみです」

可塑性の高い革で折られた鶴。革の新しい可能性を追求していきたいというのが中村さんの想い。

鞄に息吹がもたらされるのは
職人の目と手があってこそ

「ダレスバッグ、リュックはgentenにとっても初めての挑戦。かなり高度で手間のかかる要求をしています。これを形にするためには、猪瀬さんの技術……目と手が必要不可欠でした」と、佐伯が語る通り、日本の鞄業界では知らない者はいない鞄職人の猪瀬昇さん。荒川区の住宅街に工房を構える「猪瀬商店」に伺いました。

「デザイナーさんが考えていること、頭の中にあるものを汲み取って、形にするのが私たちの仕事です。図面を見ながら、1枚革だとポケットがつけられないから裏地があったほうがいいとか、ブライドルレザーのリュックだとブルームが服の背中につきやすいからどうするか、とか、デザイナーさんの意図、素材の特徴、そして実際に使う人のことを考えながら話し合いを重ねて、ひとつひとつクリアにしていきます」

ダレスバッグとリュックのデザインスケッチと型紙

素材となる革を提供してくれた中村千之助商店とは古くからの付き合い。

裏地にはピッグスキンを採用。開いたときの美しさや使い勝手も考えられています。

ダレスバッグ、リュック共通の肉厚でグリップ性が高いハンドルには、昨今では手間がかかり過ぎて作られなかった本革床芯を積層して、一点一点手で削り出されたものです。 「鞄は手に持って運ぶもの。持ち手の掴み心地というのは、鞄の使い勝手を左右する大切な条件なので特にこだわっています。機械では決して作れません」

外側だけ革を使うのではなく、芯の部分も革を何層も張り合わせることでグリップ性が高まる。

ダレスバッグ、リュックの外装のカットされた革の裁ち端(コバ)には、一箇所ごとにカンナをかけ、丁寧に面をとったあとさらに手作業で、ツヤツヤになって面が丸くなるまで磨き立てる本磨きが採用されています。この奥行きのある透明感に猪瀬さんの職人としての美意識やセンスが現れています。世界のトップブランドが工房に視察に来るくらい、他に類を見ない磨き技術です。

磨きに使われるカンナ。鞄の部位によって使い分けられる。

「最近は磨きをやらない職人が増えていて、専用のカンナもなかなか手に入らないから、自分たちで道具まで作っています。世の中に数多くある鞄の中から、自分の作ったものをお客さまに選んでもらい、評価していただくために、他にはない技術を磨いて、残していきたいですね」

真摯な手仕事から生まれる
凛とした存在感や品格

最後に、この商品の企画・デザインを手がけた企画の佐伯に話を聞きました。
「一般的にgentenのバッグはソフトなイメージがあると思いますが、私にとって鞄の原点といえば、留め具のついたダレスバッグのような紳士鞄です。今回gentenのものづくりが20周年を迎えるにあたって、クラシシズムを感じながらも新しい紳士向けの鞄をgentenらしい表現で発信したいという思いからダレスバッグとリュックを企画しました」

ダレスバッグは、オーセンティックで端正な佇まいでありながら、一般的なダレスとは違い、現代の使用性に即したスマートなマチ幅で、シャープさを兼ね備えたバランスを重視しています。リュックは、ブリーフケースのような品格とランドセルの堅牢さを兼ね添えた、スーツスタイルでも充分に通用する“バックパックブリーフ“を考案。どちらもキルガ―社のブライドルレザーを、日本が誇る鞄職人がすべて手縫いで丁寧に仕上げることで、gentenらしさを表現しています。

クロージャー(錠前金具)には、イタリア屈指の錠前金具メーカーである、ジョバンニ社のものを配しgentenのネーム刻印を。内装には全てピッグスキンをライニングすることで、スペシャルエディションにふさわしい仕上がりになりました。

「バッグ全体に漂う凛とした緊張感、品格は、今回、私から製作をお願いして、引き受けてくださった職人の方々の、昔ながらの手間暇を惜しまない手仕事、メイドインジャパンの真摯なモノづくりがあってこそ生まれたものだと思います。バッグを“いれもの”として考えると、ユーティリティに優れた商品は他にいくらでもありますが、身の回りの大切なものを“託す”“運ぶ”背負う“ことで、人生に寄り添う特別な存在として、これらの商品をお届けできればと思います」

ダレスバッグ・ダレスリュックは数量限定生産。gentenオンラインショップにて特別販売しております。各297,000円(税込)。



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